幸せホルモンとは ホルモン第2回
1回目ではホルモンの役割を簡単に説明しました。幸せホルモンがあることをご存じでしょうか。
『ホルモンとアロマ』についても、当「ゆい葉 アロマスクール」で学ぶことができます。医学的な難しいことを学んでも混乱してしまうし、がんばって頭で理解しても健康にはつながりません。バランスよく分泌させるにはどうしたらよいか、日常生活に目を向けた講義内容となっています。
さて、幸せホルモンと呼ばれるものにはどのようなものがあるでしょうか。一般的に「三大幸せホルモン」と呼ばれるものは、①オキシトシン②セロトニン③ドーパミンの3つです。
一つずつ見てみましょう。

①オキシトシン
脳内の視床下部から出産時に分泌されることで有名なホルモンです。分娩時に子宮の収縮を促したり、乳腺を刺激して母乳を出す働きをします。エストロゲンによって分泌が促されることがわかっています。男性にも普遍的に存在することが判明しています。(男性の方大丈夫です!)
オキシトシンが出産時に分泌される役割は「母乳を出す」ことだと私自身は思っていましたが、実は母乳を出すことだけではなく、出産時に受ける痛みやストレスを緩和する役割があるとわかりました。オキシトシンの主な効果についてまとめてみました。
オキシトシンの注目される効果
抗ストレス作用
- 血圧を下げる
- 血糖値を下げる
- 下痢・食欲不振、過敏性大腸炎などの胃腸障害の改善
- ストレス性便秘の解消
- 免疫力アップ
自律神経調節作用
- 自律神経のバランスの乱れから生じる、何となく体調がすぐれない症状の改善
どれも素晴らしい効果ばかりですね!オキシトシンを増やせば健康的な生活が送れること考えたのではないでしょうか。
実際に体調がすぐれないときにオキシトシンを身体に投与すれば、体調が改善するのではないかと考えると思います。しかしその考えで、薬などによって外部からオキシトシンを摂取した場合、私たちの身体の中ではもうすでにオキシトシンが十分あると判断して、体内で産出しなくなってしまうので注意が必要です。
もう少しオキシトシンについて深く探っていきましょう。
→関連記事「ホルモンとは」
オキシトシンが減るとどうなるか
オキシトシンが減るのと反比例するように、増えているホルモン「バゾプレッシン」というものがあります。このホルモンは個体の生命維持に必要なものですが、自己中心的、利己的な性質を持っていて視床下部でバゾプレッシンが増えると、不安が増強し、他者への攻撃性が増します。
オキシトシンが十分に分泌されないと、「不安」「うつ」「恐れ」といった感情にとらわれやすくなるメカニズムがわかったと思います。
孤立したり、ストレスの強い環境に置かれたりすると、攻撃性が表れ、キレやすくなってしまうのはこのためです。これは子供だけではなく大人にも当てはまります。
オキシトシンが優位な状況では仲間意識が強くなったり、他人に対して友好な態度をとれますが、バゾプレッシンが優位になってしまうと、仲間に対して攻撃的で横柄な態度をとってしまいます。
バゾプレッシン優位の状況は、ますます周囲から孤立し負のスパイラルにはまってしまいますね。周囲を巻き込んで、自分も幸福感を感じることなく、社会的な生活だけでなく日常生活もどんどんすさんだものとなってしまいます。
オキシトシン優位になるような生活ができたら、自分だけでなく周囲の人にも幸福感を感じさせることができますね。
オキシトシンは利他的、バゾプレッシンは利己的
自己と他者との領域を分ける物理的な境界線は人間の一番外側にある皮膚によってされています。
大変興味深いことに、精子と卵子が受精して細胞分裂を繰り返して一番初めにできるのは自分と外とを分ける細胞=将来皮膚になる部分です。→「たった一つの細胞「受精卵」が細胞分裂して胎児となる過程…徹底解説!(国際幹細胞普及機構サイトより)」

大脳にある頭頂葉について
脳の図を見てください。頭頂葉は後頭葉の上部、前頭葉の後部にあります。頭頂葉の機能は他の3つの大脳葉(前頭葉、後頭葉、側頭葉)に比べるとよくわかっていません。
頭頂葉の全部は皮膚から伝わる感覚情報が集まる部分で、あらゆる外界の認識に関わっています。体の様々な部位からの感覚情報の統合を行っていて、さわった物などを認識すること、後頭葉からの視覚情報も頭頂葉で統合されていて映像化されて外界の認識、感覚情報の統合も行っていて、空間感覚の決定を担っています。また、頭頂葉の上部後方には、私たちが自分の周りの空間の中で、「方向定位連合野」と呼ばれるどこにどのような向きや傾きでいるかなどを意識している部位があります。その部分で「自分」と「他者」の境界を認識しています。
アメリカ・ペンシルバニア大学のアンドリュー・ニューバーグ氏の研究で、チベット仏教の仏教徒に脳活動を記録できる装置の中で瞑想を行ってもらい、脳の働きを調べところ、深い瞑想状態に入ると、「方向定位連合野」の活動が抑えられることがわかりました。この部分の活動レベルが極端に低下し、「方向定位連合野」に流れ込んでくる体の感覚器官からの信号が遮断されたのです。
「人のために祈ると超健康になる!」高橋徳著
深い瞑想状態に入ると、「自己と周りとの関係が溶けて不鮮明になる」「自己と外界との区別は存在しない」という感覚を生み出すメカニズムが脳の研究で証明されたそうです。
“男性は出産の痛みに耐えられない”という女性は強いことを表す表現を聞いたことがあるかと思います。オキシトシンには自己と他者を不鮮明にする性質があるだけでなく、出産の痛みに耐えられるように、モルヒネと同様の鎮痛作用や鎮静作用を示す脳内麻薬と呼ばれる「オピオイド」を分泌させているのです。オピオイドの作用として考えられている「ランナーズハイ」と呼ばれるドーパミンの多幸感も同時に感じられます。オキシトシンそのものの効果ではないですが、脳内麻薬を分泌する働きも同時に持っていることはすごいですね。
高僧が瞑想によって、あらゆる雑念がなくなって心が澄み切った状態の境地になると、「どんな苦痛も苦痛と感じない」と言っていたメカニズムがオキシトシンの性質の解明によって科学的に説明ができました。
仏陀(ブッダ)は、つらい修行によってではなく瞑想によって悟りがひらけると説いています。脳科学もなかった約2000年以上前の人物が、脳内のメカニズムを理解して広めたことはとても興味深いですね。
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